カテゴリ:店主雑談( 23 )
2016/9/6 夏の飲み物
9月に入りましたがまだまだ残暑厳しく。例年だと10月頭位までアイスコーヒーは出ますし。

この時期急激に消費が増える飲み物と言えば、キリンクラシックラガー&芋焼酎ロック、そしてハイボールと…まぁ早い話が酒になってしまうのですが、特にここ4〜5年で急激に好きになったのが純米酒(冷や)。まだ普通に買えた「獺祭」を入り口として色々飲み比べるうち、コーヒーとは全く違う面白い世界を感じました。

コーヒーの場合、カッピングの表現方法はワインに近く(というか敢えて寄せて行っているところもある)、これは同じ「果実」として分かります。
ただ日本酒のカッピング(利き酒?)にはコーヒーとは全く違う表現があることを知りました。

あるお店で2種類のお酒の味の違いを尋ねた際、「こっちの方が少し太い」と言われた事がありました。
太い?? あ〜でも何となくイメージは分かるな〜と、それからいろんなお店で日本酒のキャプションを見比べ、色々試しては納得&感心している訳です。

あと日本酒とコーヒーの違いとして、同じお酒でも瓶詰めのタイミングや寝かせる期間によって味が明確に変わりますよね。中取りとか新酒とかひやおろしとか。季節によってそれぞれの楽しみ方が出来るというのも良いですね。コーヒー豆にもエイジングの考えはありますが、日本酒ほど短いスパンで味の変化があるものではありません。ナチュラル精製とウォッシュトの違いくらいかなぁ明確に分かるのは。

ふと思ったんですが、いわゆる「夏酒」という括り。
これは「夏の暑い時期でも美味しく飲めるお酒」ということで、軽快な飲み口で清涼感のあるもの、微発泡や低アルコールのものなどが括られるようです。

なら「夏コーヒー」って無いの?という事なんです。
コーヒー屋の夏は毎年が試練で、どうやって乗り越えようかとどこのお店も思案している筈です。だいたいどこの店もアイスコーヒーのプレゼンをするのですが、何となく芸が無いし限界もある。水出しパックやリキッドコーヒーはポリシーに反するのでウチはやりたくない。夏でもホットで美味しく飲める豆。これが沢山売れてくれたら万々歳なんです。

夏の暑い時期でも美味しく飲めるコーヒー。
日本酒の例に倣えば、「心地よい軽快な酸味」「ジューシーな果実感」「スッキリした喉越し」「キレのあるアフターテイスト」焙煎は浅煎りから中浅煎り位で。

そんな事を6月位から考えていていました。先月の新入荷のニカラグア/ジャバニカなどはとても良いと思います。ただこれも残り僅かになってきましたので、夏にオススメの新しい豆をもうひとつご紹介致します。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・

*タンザニア/タリメ ゴールドマインAA
初入荷ですがケニア国境に近い北部タリメ地区は標高も高く今後更に期待が持てるエリアです。
カシス、ベリーや柑橘系のフレーバーやワイニーなど華やかな香りがあります。クリーンで甘味もあります。
生豆240g/1,150円 (税込1,242円) 中浅煎り

初めて飲んだ時に、これはイイ!と思った豆です。今週末からの販売となりますので是非お試し下さい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・

e0245899_23343933.jpg夏場の焙煎はとにかく暑く、オーダーが続くと軽い脱水症状になります。水分補給は欠かせないのですが、ついつい飲みたくなるのが炭酸飲料。分かってるんです、体に悪いのは。果糖ブドウ糖液糖・無果汁ですから。でも飲みたくなるんですよ〜これとか。お酒も含め、この時期はお腹タプタプです。また腹筋しなきゃな〜
by kunicoro | 2016-09-05 23:37 | 店主雑談
2016/5/18 リップヴァンウィンクルの花嫁
最近ブログが業務連絡ばかりでつまらないですよね。
ごく少数ながら更新を楽しみにして下さっている方もいるようで、かと言ってコーヒーに絡めた話題は特に無く…と何でもいいから1番最新のネタで考えた時に、唐突に映画の話です。

先日国立で行われたある飲みの席で、ある人物がこの作品をかなり絶賛してました。
「黒木華はすごい」
「3時間まったく苦にならない」
「別に鑑賞した友人とこの作品について語る為だけに飲みに行った」 など。
そこまで言われたら観ないわけには行かないじゃないですか。

※以下少しネタバレもありますので未見の方はご注意下さい。

e0245899_1223858.jpg岩井俊二デビューはかなり衝撃的だったのでフツウに観てましたよ。でも『リリィシュシュのすべて』でこの人にはもう付いて行けないと感じ、敬遠というかむしろ嫌悪してました。なので何年振りかなぁ。

冒頭から、モーツァルトをBGMに街中の雑踏に佇む黒木華のスローモーション。うわぁ〜 ザ・岩井俊二ぃ〜っ! ただその後は何か昼メロっぽい話に。物語が動き出すまで1時間くらいありましたか。後半はかなり怒涛の展開で、役者陣の熱演にも引っ張られて自分は最後まで飽きずに観ることが出来ました。


まぁ薄々感づいてはいましたが、確かに黒木華はすごい。あれは演技なのか!?
演じているというより「そこにいる」感じ。この主人公のキャラ設定がまた主体性が無くて地味で内気で、素性のよく分からんほぼ初対面の男に「チョコレート好き?」って言われて「大好きですっ!」って2個貰っちゃうような簡単に他人を信じちゃう性格。女2人の三次会、ピアノ生演奏付きのバーでそれぞれ歌う曲が森田童子と荒井由美…って、お前ら暗っ!!

これを土屋太鳳あたりがやったらかなりウザいキャラになる所が(ゴメンね、可愛いんだけどね)、この人がやると不思議と気にならない。劇中どんどん綺麗になっていきますしね。俺が監督だったら好きになってるね。今回コスプレもイケる事が証明されたし、ホントこの人は何でも出来ますね。個人的にはサイコパスの連続殺人鬼とか見てみたいです。

岩井俊二って映像面が取り沙汰されがちですけど実は役者を演出する部分が凄いのかも、と思いました。悲しいシーンで泣かせる演出をされても全く泣けないんですが、悲しいシーンで可笑しなことをやられると観ている側は笑いながらも泣ける訳で、その辺がすごく良いです。ただ台詞が作為的というかクサいというか、それで物凄く興醒めしちゃうシーンもあるのですが。。。

あとこの作品とても「奥行き」のある構造になっておりまして、本編では描かれていない所のエピソード、それぞれの登場人物達がそれぞれ背負っているであろうものをいろいろ想像させられます。

あそこで出てきた◯◯は実は◯◯のことだよね?
あのシーンの◯◯はそれまでの流れを考えると絶対◯◯だよねー。

とにかく何かと余白がある為に見る側で色んな解釈をしたくなる。なるほど誰か誘って語り合いたくなる気持ちも分かります。リピーターが多いというのも頷けるかと。
岩井俊二の昔の作品も観直してみたくなりました。『四月物語』は大学通りが舞台だそうですね。公開当時は江戸川区民だったもので、全く意識してませんでした。

映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』観に行くのは1人で、後であーだこーだ誰かと議論する、そんなのが楽しいかと思います。
3月末の公開なので現在は小規模な上映になってしまっています。興味を持たれた方は劇場へお急ぎ下さい。渋谷ユーロスペースではロングランされています。

最後にどうでもいい事なんですが、主人公・七海(黒木華)が来客にコーヒーを淹れるシーンで、カリタの「ナイスカットミル・シルバー」が使われてました!(ホントどうでもいいですね)
by kunicoro | 2016-05-12 17:19 | 店主雑談
2015/12/31 本年の営業を終了致しました
今年も多くの皆様にご来店いただき、本当にありがとうございました。

毎年混雑するこの時期、事前の電話注文・時間に余裕を持ったご来店にご協力をいただき、大変助かりました。おかげさまで今年も心地よい疲労感の中で2015年を終える事が出来ました。

恒例のフルタヨウコさんとのバレンタイン企画から始まり、それと同時進行でバタバタの参加となった旧高田邸での2つのイベント(仕舞いの日&ゆる市)、苦渋の決断だったコーヒー豆の価格改定まで気が休まらなかった序盤。そんな中でも旧高田邸で出逢った出展メンバーやお客様との思い出は自分にとって本当にかけがえのない物になりました。

5月には初のテレビ取材、緊張でカッサカサになってる自分の声をオンエアで見て爆笑。冷夏で今ひとつだったアイスコーヒーシーズンを何とか乗り切り、今年のヤマ場・開店5周年記念イベント〜すぐに年末の繁忙期、そして気付けばあっという間に2015年も終了。。。

とても充実した1年だったと思います。
開店から5年が経過し、自分の心境にも変化があることを感じています。働き方、暮らし方、人との繋がりなど、昔は「何でもいい」と思っていたことが、「いやいやよくないぞ」と素直に思えるようになりました。この5年間に出逢った多くの方々へ感謝致します。

そしてまた新しい年へ向けて、気持ちも新たに取り組んでいきたいと思っています。
今年1年のご愛顧、本当にありがとうございました!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

やはり区切りという意味で、今年も勝手に書かせて下さい。
『個人的な流行りもの2015』!

●『マッドマックス/怒りのデス・ロード』極上爆音上映@立川シネマシティ
e0245899_137358.jpg「極上」な「爆音」、略して「ゴクバク」!
凄いと口コミで噂が広まり、公開最終日まで満席状態が続いてましたね〜 
アトラクション感覚でリピーターが続出、お客様で最高4回という方がいらっしゃいました。(40代女性)
「マックスが弱い」「敵キャラの狂気が足りない」など旧作ファンからはいろんな文句を付けられたものの、『マッドマックス』だと思わないで観ればもの凄いですこれは。
今回もちゃんと ”威勢のいい婆ちゃん”が出てくる(→そしてあっさりやり込められる)ところも良かった!

映画館へは今年も頑張って通いましたが、年間50本は到達出来ず。来年こそは!
因みに2015個人的ベスト3は、『デスロード』『セッション』『ヴィジット』です。誠実に振り切ってる作品が好きですねぇ〜

●セントジェームスのTシャツ
e0245899_1433835.jpgセントジェームスといえば長袖のボーダーTシャツ。元々ボーダーが似合わないということもあるのですが、どうもあの「ボートネック」ってやつの首元が心許なくて敬遠してました。ところが「シャツの上に長袖のボートネックを合わせる」という着こなしがあることを知り、チャレンジしてみました。するとボーダーだけでなく無地もあったり、国内ライセンスじゃなくてフランス製なので何となくおしゃれっぽく思えたり、半袖のピリアックっていうラインが自分の体型好みであったりといろいろ良く、ちょっとしたブームとなりました。
今まで洗濯物はギンガムチェックばかり干されていたのが、ボーダーと無地も少し加わりました。

●ミニトマト
e0245899_125531.jpgコンビニのサラダとかお弁当に、ただ「彩り」として添えられている存在。。。そう思っていました。間違ってましたね〜 今や銘柄もすごくたくさんあって、甘くて美味しい!けっこういろんな種類を試したのですが、ルミネ立川B1・九州屋のミックスミニトマト。これに落ち着きました。


●キリン「まろやかエール」
e0245899_1261481.jpgまず「無濾過」とか「無調整」とかいう言葉に弱いというのもあるのですが、夏の間はずっとこれ飲んでました。ただ何故か自宅近所のセブンイレブンでは扱いが無く、いつも店の近くで買って持ち帰っていました。貴重なストックを妻には分け与えず、一時関係悪化に繋がったという代物。


他には
●五島列島(福江島)
●沼サン
●池田エライザ(女優)
●シークァーサーもずく(by三浦屋)

など。。。以上です!

新年は1/8(金)からの営業となります。よろしくお願い致します!
by kunicoro | 2015-12-31 23:57 | 店主雑談
2015/12/10 コーヒーとパン
ブラジル人ピアニスト、ジョアン・ドナートのアルバム『Coisas Tao Simples』の中に『Cafe Com Pao(邦題:コーヒー&パン)』という曲があります。
恋人たちの関係を例えて、「僕たち二人の仲はコーヒーとパンのように切っても切れない関係さ〜♪」みたいな内容だったと思います。

それだけ昔から世界中の至る所でコーヒーとパンは特別な関係である訳なのですが、恥ずかしながらつい最近までパンへの思い入れをほぼ持っていませんでした。。。

理由はいくつかあります。
まず「白飯が異常に好き」であること。好きな食べ物=白飯に合うものなので、つまり最も好きな食べ物は白飯になります。
そして「朝弱い」こと。朝食はずっとパンですが、ボ〜ッとしてるので何を食べても有り難みが無い。。。

コーヒー屋としてそれでいいのか!? と自責の念にもかられ、一昨年くらいから「美味しいパンをもっと知る」ということをちょっとしたテーマに掲げています。

とは言え初心者ですので基本的には柔らかいパンにまだまだ行ってしまいがちなのですが、なるべく頑張って色々な種類にチャレンジするようにはなりました。

国立には美味しいパン屋さんが多い、ということもありますね。
特に日頃からお世話になっているのは柿屋ベーグルさん、mimosaさん、ベーカリーハースさん、そして老舗・タルムリエさんなど。

こんな恵まれた環境にあることに有り難味を感じ、いろいろなお店のパンを知ることで少しずつパンの美味しさが分かってきたような気がします。

そんな国立に、また新たなパン屋さんがオープンします。
『アカリベーカリー』さん。

ご主人が国立コーヒーロースター開店からのお客様だったのですが、パン職人の方だとは知らず…長く修行されてこの度独立されるそうです。
場所は南口の線路沿いを立川方面へ、しゅんかしゅんかさんの向かいです。
テラバヤシ・セッケイ・ジムショさんによる内装はシンプルながらも木の温かみを活かした素敵な空間に仕上がっているようですよ。
ご縁から、看板やショップカードなどのデザインをウチの妻が担当させていただきました。 姉妹店のような仕上がりになってますね。笑

オープン予定は12/14(月)。オススメは「食パン!」とのことです。
ぜひ皆さま足をお運び下さい。

アカリベーカリー

〒186-0004
東京都国立市中1-7-64
TEL:042-505-4263
FAX:042-505-4264

OPEN 10:00-14:00,15:00-19:00
日曜&第1・3・5月曜定休

e0245899_0383336.jpge0245899_0384994.jpge0245899_039593.jpg
by kunicoro | 2015-12-11 00:57 | 店主雑談
2015/10/21 SCAJショー2015
e0245899_1431840.jpg先日お店の営業を1日お休みさせていただき、今年も行ってきました年に一度の見本市『SCAJ2015』。

当日は爆弾低気圧が接近中という不穏な天候の中、いきなり中央線が人身事故で三鷹で止まる。井の頭線経由に変更も、今度は湘南新宿ラインも事故で運転見合わせという情報が。諦めて途中の渋谷駅で立ち蕎麦。会場入りはお昼過ぎに。。。

さぁ出遅れたぶん気合い入れて廻らねば。
今回は5年ぶりに妻も参戦。店主には無い目線でいろいろ見てもらおう。


e0245899_11894.jpgまずは毎年飲み過ぎる生豆ブースから。

パナマのナチュラル飲み比べ(エスメラルダに負けない農園も出てきてますね)、聞いた事の無い国名の豆(アフリカは広いね)、スペシャルティの雄・ワタルさんのブースはさすがに盛況。

今迄気にはなっていたが取引の無かった商社にいくつか良さそうな豆があり、今後の品揃え広がるか。また普段お世話になっている担当の方々へご挨拶と情報交換なども。


e0245899_15369.jpg今年は「試飲」じゃなくて「カッピング」やってるブースが多いですね。
「カッピング」とは豆の香味特性を測る為のもので、挽いた粉に直接お湯を注ぎ、スプーンですくって勢いよく「ぶじゅぅわー!!」って吸い込むアレです。

主に品評会で細かくスコアを付ける時や毎日の焙煎にブレが無いか確認する為に行うものなので別に美味しくはないんですけど、こういう場所でやるのはイベント的要素があって面白いですからね。


e0245899_1135535.jpg韓国の雑貨メーカーの出展が目に付きます。

茶筒ほどのサイズにドリップケトル&ミル&フィルター&タンブラーがオールインワンされたアウトドアコーヒーセットとか、"ステンレスの布"フィルターとか、20種位のドリップパックのセットで飲み終わった後に外装の木箱をスピーカーとして使えるものとか、アイデアが面白い商品がいくつかありました。ただ価格設定が強気だし、品質は日本製には遠く及ばず。こういった「コーヒー雑貨」の類は日本のメーカーもすごく増えましたが、本当はSCAJよりもインテリア/ライフスタイル系の見本市の方が反応はあるのでしょう。



カリタさん、頑張ってらっしゃいましたねぇ〜新商品ラッシュでした。
新潟・燕の金物(ドリップポット)や長崎の波佐見焼(陶製ドリッパー)といった日本の地場産業とコラボしたコーヒー道具の新ブランドを立ち上げていたり、ナイスカットミルの上位機種はモーターが静か!マイナスイオン発生で粉が飛び散らない! 僕が好きな「赤いチェック」柄のタンブラーなんかも出される予定があるようです。

e0245899_128737.jpge0245899_1174096.jpg

全体的には若い女性層を狙った新商品開発を進めていながらも、老舗器具メーカーとしての強みはしっかりアピールされていました。ただ「何故この器具にこの色を選ぶ!?」というカラーリングのセンスが...おそらく商品開発してるのは若い女性では無いと思われ。。。


e0245899_1325299.jpg"シングルオリジンのカカオ"のみを使ったチョコレート屋さんが出ていて、ここは凄く面白かった。

ちなみに写真中央に写ってる茶色い塊がカカオの実です。子供用ラグビーボールくらいのサイズあります。大きいんです。チョコレートを作る際はこの中にある種子を原料にします。

チョコレート(カカオ豆)とコーヒーは産地も近く、いずれも原料である「豆」を精製→焙煎して作られる事から何かと共通点が多く、実は個人的に非常に興味があります。
最近では産地別のカカオを打ち出したものも増えているようですが、今ひとつ違いが感じられずにいました。が、ココのは明らかに違った。酸味やコクの強さといったレベルではなく、「ベリー」「ミント」「バナナ」など香味の質が全く違う。一番驚いたのは「青カビのチーズ」のような後味がしたトリニダード・トバゴのカカオ。

何故こんなに違うのかというと、一般的なチョコレートはどうしても「甘くしちゃう(甘くせざるを得ない)」からなんだそうです。質の良いものを使えば乳化剤や香料などは必要無く、カカオと砂糖だけで良いのだとか。
特に妻の方は興味津々で、自分一人なら通り過ぎていたかもしれないブースですので連れて行って正解でした。店でいつか何か形に出来ると良いのですが。



e0245899_1352247.jpg昨年のブログにも書いた、Slayerのイケメンゾーン。今年もかっこいいぞ!

どこのブースか忘れましたが、何かの大会の「ブリュワーズ部門」(ドリップ、プレスなどの機械的動力を伴わない手動の器具での抽出)のチャンピオンだという外国人が3人並んでデモをしていました。若い女性スタッフが一生懸命「チャンピオンがやってま〜す!」的な呼び込みをしてるのですが、まぁ〜しかしベラベラお喋りしながら適当にやってんすよ〜これが。この人達のどこをどう評価してチャンピオンにしたのか全く持って分からんわ。


他にもあれこれパッケージやノベルティ、ドリップパックのメーカーなど廻り、終盤に来てはたと気付きました。「お腹が痛くない!」と。
試飲の豆以外にもアレンジドリンクや紅茶、ヨーグルトドリンク、サングリアまで口にしたにも関わらず。昨年までは昼食抜きでひたすら廻ってたのが原因だったようですね。(来年からは来場前の"本家しぶそば"が定番になりそうです。)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

全体の印象なのですが、昨年に比べると「ちょっと落ち着いてきたかな」と思いました。まだフワフワした部分もありますが、違和感に気付き始めた人も多いのかなと。

特に「一個人」に焦点を当て過ぎるのはもういいんじゃないかと思います。今年も各バリスタの冠を大々的に打ち出したデモをやってましたけど、当事者や受け手よりも"廻りで囃し立てる大人たち"の問題なんだと思います。さっきの外国人3人とかも、こういうことに有り難みを持たせ過ぎたらダメだと思うんですよね。らんぶるの初代とか大坊さんとかが淹れてくれるなら並ぶけどさぁ。

コンテストも整備されて基準が明確になり、素晴らしい技術や知識を持つ人たちがたくさん出てきて注目を集め、業界全体を牽引している風潮があります。若い子たちのモチベーションにもなってるし、悪い事では無いと思います。ヒガミじゃないんですよ、素直に尊敬の念を持っているんです。ただ業界内に千載一遇・この時とばかりに「乗っかってやれ」的なギラギラ感が蔓延してるのが情けないやら恥ずかしいやらで。。。という事です。

出展者の方に聞くと、ここ2〜3年製菓やカフェの専門学校生がもの凄く大量に来るんだそうです。カップルで楽しそうに廻ってる子たちはそういう子たちだったんですね。でも彼らは意外と客観的にこの業界を感じ、自分の将来を見据えているのかもしれません。丸山の世界チャンピオンが呼ばれて延々話しさせられてましたが、会場の反応はけっこう冷静でしたし。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

会場を出た時は既に暗くなっていて天候も荒れ気味だったのですが、どうしても行きたい所があったので表参道へ向かいました。

目的地は『SHOZO COFFEE STORE 』。
那須にある人気カフェの支店、なのですが店というよりは小屋、カフェというよりはスタンドに近い小さなお店です。
こちら実は豆は自家焙煎ではなく札幌の斎藤珈琲さんという所から入れているのですが、ここがもう自分が今まで飲んだコーヒーの中でもどんだけだよっていうくらい美味しいお店だと思っていまして、東京に出来てからずっと来たかったのです。

豆はやっぱり美味しかった。
何ていうか、失礼な言い方かもしれないんですけど「フツウに美味しい」んですよ。普通にペーパードリップで淹れたのに、何なんだこのトロッとした滑らかな口当たりと匂い立つ甘い香りは。ブレンドの配合もベーシックな組み合わせだし、そんなにスペシャルティの高い豆も使ってないと思うんですけどねぇ。
福岡で買ってきた豆たちがことごとく浅煎りの同じよう〜な味ばかりで飽きてたところに、この中深煎りのブレンドは染み渡りましたね。

以前札幌のお店に伺った時に奥で焙煎されているのを見ていたのですが、何かこうとても淡々と自然体でやられていて、サンプリング(焙煎中に釜内の豆を取り出して進行度合を見る作業)も温度が下がるから殆どしない、みたいなことも仰っていらして。。。凄いなぁって。

タモリの名言で、「人間の能力で一番凄いことは複雑なものをポッと簡単に出すことなんだよね。簡単なものを複雑にやるのが一番バカなんだよね。」っていうのがあるのですが、何かそんな感じ?です。
この日一番良かったのはここに立ち寄ったことかもなぁ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

でいろいろあって結局、「自分は自分が出来ることをしっかり一つ一つ積み上げていくしかないんだな」という事に立ち返りました。毎年そうなんですけどね。
注文してくれたお客さんの顔を思いながら、1個1個気持ちを入れて豆を焼く、ということですね。進歩があるような、無いような。
by kunicoro | 2015-10-21 18:38 | 店主雑談
2015/8/21 作家の珈琲
e0245899_9514054.jpg平凡社コロナブックス・作家の○○シリーズの新刊、『作家と珈琲』がとてもいいです。

池波正太郎、松本清張、安岡章太郎といった昭和を代表する作家たち(総勢25人。何故か健さんも入ってる。)と珈琲の特別な関係。
珈琲を味わうということが、今よりも少し特別なものだった時代。お気に入りの場所や店、道具やカップ。珈琲のお供に愛したお菓子やケーキ。
作家本人が遺した珈琲についてのコラムや、近しい人たちによる作家と珈琲にまつわるエピソードが満載で面白い。


全体を通し、写真がすごくいいんです。当時(昭和40〜50年代中心)のものと今回新しく撮影したものと混ざってるはずなのに、全く違和感が無い。登場する喫茶店の内装も自宅のアトリエやダイニングも、当時から何ら変わらずに存在し続けているということか。。。

この本を見ると、「モノの選び方の基準」みたいなものが今と全然違ったんだろうなぁということを感じます。
それぞれに珈琲を味わう為の拘りや特別な思い入れがあるんだけれども、今の時代よりももっと本能に忠実というか。

例えば北欧雑貨なんてまだそんなに浸透してなかった頃だと思うんですけど、カップ周り全てアラビアのルイージャだったりする。お茶菓子もロシアチョコレートじゃなきゃ駄目だ!とか。
きっと少ない情報・限られた選択肢の中で経験を積み、自分の好みに本当に合う良いものを選んで使い続けていたんでしょうね。ルイージャを割ってしまっても、ルイージャを買い足したんじゃないだろうか。

書斎やアトリエの閉鎖された空間で、自分と向き合いながら創作に励む作家という職業の人たちだからこそ、「珈琲を味わう」ことに特別な意味を見出していた人が多かったのかもしれません。

今は自分の代わりにモノを選んでくれる人がたくさんいますよね。「スタイリスト○○さん愛用の○○」「料理家○○さん絶賛の○○」とか。
別にどっちがいいとかどっちが豊かな生活かとかそういうことでは無いです。ただ「違うよなぁ」というだけです。
自分も今までアマゾンにどれだけ払ったことか。消費されなきゃ新しく産まれない世界ですから。
ただなるべく「本当の価値」を考えてモノを選びたいとは思います。でも実際は「失敗した選び方をしても納得する余裕を持つ」くらいしか出来てないかもしれませんが。

この前あるお客様がよく似た話をされてました。
自分より一回り以上は年上のパン職人の方なのですが、「仕事との向き合い方」の面で密かにリスペクトさせていただいており、お言葉を頂戴しては裏で隠れてメモったりしています。
その方はジャズやクラシックなどに非常に造詣が深いので音楽の話なのですが、音楽の聴き方も昔と今とじゃ全然違うよね、という。
雑誌を見れば評論家のレビュー、ショップにはスタッフ手書きのキャプション、買う前に気軽に試聴、ポチっとやれば翌日届くCD。そして月額聞き放題のストリーミングサービス。

" 失敗しない環境作りや商品選びの幅はもの凄く整備されてるんだけど、結局それって自分で選んでるというより「誰かに選ばされてる」んだよね。若い頃はストレスが多いから感情を刺激されるとすぐ受け入れちゃうけども、自分に本当に必要なもの、最後に残るものはもっとストイックで抑制されたものなんだけどなぁ " と。
ただその方も今の現状を嘆いているという事では決して無く、ただ「違うよね」というだけなんですけど。
" どんな音楽の聴き方をしてるのか、今の10代・20代の子たちとゆっくり話してみたい" とも仰ってました。この辺は流石だなと思います。

着地点の無い話を続けて本題から逸れてしまいました。本のことに戻ります。
とにかく喫茶店好きな方はかなりハマると思います。西荻こけし屋や吉祥寺くぐつ草、新宿DUGといった個人的にも馴染みあるお店が多く登場するのも嬉しく。山口瞳さんの項では20年以上前のロージナ茶房の姿も拝めますよ。
by kunicoro | 2015-08-21 17:10 | 店主雑談
2015/7/30 サードウェーブを今更考える
おそらく今年の流行語大賞にもノミネートされることでしょう。そして今や独り歩きを始めた感もあるこのワード。

ただウチのお客様の間では「別にどうでもいい」というスタンスなのか意外と認識されておらず、また個人的にちょっと思うこともありますので少々書いて見たいと思います。(長いです。)

サードウェーブ(第3の波)
『豆の産地やばいせん方法にこだわり、1杯ずつ丁寧に淹れるコーヒーを指す。コーヒー豆の生産技術や流通網の発達でコーヒーが身近になった「第1の波」、専門店がチェーン展開した「第2の波」に続く、新しい潮流を意味する。米国のコーヒー業界で広まった表現とされる。』
〜ある日の読売新聞より抜粋〜

あくまでもアメリカ発祥の「波」ですが、その都度(多少形を変えながら)日本へも入ってきているわけです。そのキーワードとしてはこんな感じでしょうか。

「第1」1970年代〜
⚫喫茶店、マスター、自家焙煎
⚫ブルマン・モカ・キリマンジャロ
⚫MJBブレンド、違いの分かる男(ネスカフェゴールドブレンド)

「第2」1990年代〜
⚫スタバ、タリーズ
⚫エスプレッソ、ラテ、カプチーノ
⚫フレンチロースト、イタリアンロースト

「第3」ゼロ年代〜
⚫ブルーボトル
⚫スペシャルティコーヒー
⚫浅煎り、ハンドドリップ

「第2」で大きくなり過ぎたコーヒー市場への反動のような形で、主にアメリカ西海岸を中心に広がったムーブメントが「サードウェーブ」です。
豆もエスプレッソ用に深煎りのマシン抽出がメインだったのを、本来の個性が分かりやすい浅煎りの豆を手で淹れる。質の良いコーヒー生豆がどんどん生産されるようになった時代背景も伴っています。まるで果汁のようなフレッシュ感溢れるコーヒーはちょっとした驚きでした。
また元々お金の無い小さなロースターが、使われていない倉庫などを自分たちで改装した独特のオシャレ感ある内装なんかも新鮮でした。それはまたたく間に広がり、大きな「波」とまでなったのです。

でもね。

『豆の産地やばいせん方法にこだわり、1杯ずつ丁寧に淹れるコーヒーを指す』

ってのはちょっと大雑把過ぎです。
そんなの自家焙煎の喫茶店のマスターはずっと昔からやってます。それが「新しい」っていうのは逆に今までどんだけ丁寧に淹れてなかったんだと。

ブルーボトルの社長は日本の喫茶店文化を大変リスペクトしてくれており、『カフェバッハ』や渋谷の『羽當』には来日の度に行くそうです。ブルーボトルで使っている陶器の一つ穴ドリッパーは、バッハと同じ日本のボンマック製だったりします。
つまり日本ではずっと当たり前に存在していたコーヒー文化が逆輸入のような形で入ってきた、という側面もあるわけです。

で結局何が言いたいかというと、「別にそんなにありがたがる必要は無い。」ということです。
日本には多くのマスターたちが長年培ってきた素晴らしいコーヒーや喫茶の文化があるのに、そんなに一喜一憂して持ち上げることはありません。あんなドリップスタンドみたいなので2〜3杯まとめて淹れやがって、もっと気持ち込めろや!くらいのスタンスでよいかと。

解せないのはユーザーだけでなく、業界内でもそっちに寄って行こうとする動きが強いこと。『生豆商社主催・清澄白河サードウェーブコーヒーショップツアー』なるものが行われてたり。。。自分で勉強しようよ。大勢で来られる店もいい迷惑だよ。

もう一つ言うと、本来サードウェーブは「考え方」とか「思想」とかがあった上での「ムーブメント」なわけで、決して「スタイル」ではありません。
その呼称も、同じ時期・近いエリア・似た考えの人たちが盛り上がったのを誰かがそう呼んだだけで、彼らは自分たちを「僕たちサードウェーブです。」とは言わないだろうし、店のロゴに「サードウェーブコーヒー○○」とか入れてる店があったとしたら、それはあくまで「サードウェーブ風の店」ということなんだと思います。

なのに何かムーブメントが盛り上がってくると、そのスタイルだけが先走りするのはよくある構図です。主に大きな資本と一部マス媒体の仕業なんですけど、それにしてもここ最近の騒ぎは中身が浅い。。。浅いのは焙煎だけでいいのですが。
やはりユーザー側がその辺りをよく気にしてないと、結局は何処かの誰かの思うツボということになり、一過性のブームで終わって文化としては根付かないのでしょう。

ただスタート地点が違うなりにも日本独自の「サードウェーブ」発展の仕方はあるはずで、牽引している若手のロースター達なんかはこの盛り上がりを余所に、ちゃんとその辺分かってるんだろうとも思います。誰とも面識は無いのであくまでそんな気がするだけですが、そこは救いかなぁ。

最近では「サードウェーブ系男子」なるワードも生まれ、辛酸なめ子なんかにネタにされてしまってる部分もあるようです。
付き合ってる彼氏がサードウェーブコーヒーにハマり、ウンチクを語ったり上質なライフスタイルみたいなのを押し付けてくるようになって正直ウザい、というもの。
そしてその中の一部男子たちの間では、「次は純喫茶」的な盛り上がりが注目され始めているというもの。。。
ここまで行くと完全に独り歩きだよな〜

サードウェーブ系男子と付き合う女性 時々ウザい状況を語る
サードウェーブコーヒー流行で昔ながらの純喫茶再評価の動き

これから先、「純喫茶風の店」がたくさん出来てくるのかと思うと、かなり複雑な思いにも駆られます。。。

いろいろ書いてしまいましたが、多くのスタイルがあった方が何かと面白い、というのもまた事実です。コーヒーなんて本当に個人の嗜好が反映するものだと思います。いろんなコーヒーを飲んで、気に入ったものを選べばいいだけです。

ただ米とか野菜とか服とか何でもそうですけど、表面的な情報だけでなく「そこにある店(主)の思い」みたいなのを感じ取ることが大事なのかなぁと思うのです。そして店をやってる人間からすると、それは嬉しい事この上ないものです。

ウチの店はほぼ「家で毎日飲むコーヒーが少しでも美味しくなれば」に特化してやっちゃってるので、時間かかるし喫茶も無いしスペシャルティも少ないですが、それでも来店して下さるお客様は何か感じ取って下さっているのだと勝手に思い込みながら、今日も豆を焙煎しています。
by kunicoro | 2015-07-30 15:20 | 店主雑談
2015/5/14 ドリップの話
先日、初めて来店されたお客様にコーヒーの淹れ方についてこう言われました。

「最近いろんなコーヒー本が出てるけど、みんな言ってることが違うのでどれが一番美味しい淹れ方なのか分からない。」と。確かに仰る通りです。

なぜそうなるかと言うと、みんな「自分が焙煎した豆(もしくは自分が売っている豆)が一番美味しく飲めるであろう淹れ方を推奨しているから」だと思います。

作る人や店によって、モノの味は変わります。コーヒー豆の味の違いは、素材の違いはもちろんですが「道具=焙煎釜」の違いによる部分も大きいです。
自家焙煎店の店主達は、自分がどういう味を作りたいかによって「道具=焙煎釜」を選んでいるはずです。

先日ご紹介した映画『さいはてにて』。
劇中、永作さんがコーヒーど素人の希ちゃんにドリップを指導します。

「泡の山を崩さないように...のの字を描くように...細く...細く.....」

コーノ式円錐ドリッパーを用いた、一般的なペーパードリップのやり方です。
(自分は "堀口式" と呼んでいます。詳しくは下記リンク先でも紹介されています。)
http://www.saihatenite.com/coffee/

堀口さんが推奨しているやり方は
⚫18gで150cc抽出
⚫湯温は90℃〜92℃
⚫蒸らし30秒〜40秒
⚫抽出時間はトータル2分〜2分30秒 といった感じです。

これに対しウチの店で普段推奨しているやり方は
⚫15gで120cc抽出
⚫湯温は85℃〜87℃
⚫蒸らし15秒〜20秒
⚫抽出時間はトータル1分程度

比較してみると、ウチのやり方って雑だな〜笑

映画で使用されているのは富士ローヤルの半熱風式3kg釜。(だと思う、たぶん。)
堀口珈琲系のお店ではよく使われている焙煎釜で、温めた空気でじっくり水分を抜きながら豆を焼いて行くので芯までしっかり火を通しやすく、焦げ臭くなりません。仕上がりが非常にクリアーになります。

ご存知の通り、ウチにある小型のやつはけっこうな強火でグワ〜っと焼いちゃうので、半熱風式のような繊細な味を出すのは難しい。でもその分パンチのある仕上がりになる。

ウチの豆は焦げ臭くて嫌だという方もいれば、半熱風式の豆では物足りない、という方もいるでしょう。これは個人の好みということになります。

半熱風式に比べると粗っぽい仕上がりのウチの豆ですので、ドリップも「多めの粉で、適度な湯温で、あまり蒸らさずに、あまり時間をかけずに」淹れた方が焼きたてのフレッシュ感のようなものを感じて頂きやすいかな、と思ってこのようなやり方を推奨しているだけです。「コーヒーの美味しい部分だけ」抽出するイメージです。

サードウェーブ系の人たちにはまた違った考え方があるし、イタリア人に聞けばまた独自の主張をするはずです。

初めてこの釜で焙煎した豆を飲んだ時、「あれ、今までの豆と全然違う」と思いました。この味が大好きになって焙煎を勉強し始めました。しかし焙煎を知るにつれ、このやり方がいかに少数派なやり方かというのも分かってきて、「こんなんで商売出来るのか?」と考えたこともありました。でもやっぱりこの味が気に入ってるし、1個ずつ焼けてお客さん1人1人の顔を思い浮かべながら焼けて、こんな店があってもいいんじゃない?と思えたので今やっています。

映画の中であんまり美味しそうにコーヒーを淹れていたので、久々に上記堀口式でウチの豆を淹れてみましたら、これが美味しかった。

香りも立つし雑味も気にならない。ポイントは「湯温を高めにする」のと「浅煎り〜中煎りの豆を使う」こと。湯温90℃〜92℃というのは沸かしたお湯をドリップポットに移してすぐ位。豆は煎りの深いものをこの淹れ方でやるとスモーキーな部分が強調されてかなりヘビーな仕上がりになってしまいます。(でも好きな人は大好きだと思います)

何だ結構美味いじゃねーかウチの豆。(また出た自画自賛)
自分で飲む分は最近ずっとこのやり方で淹れてます。ドリッパーはコーノとハリオ両方試しましたが、自分はハリオの味の方が好きかな。

昔初めてスキーに行った時、放ったらかしにされて転びまくって「2度と行くもんか!」と思いました。もしあの時誰か上手い人が面倒を見てくれたら、スキーが好きになっていたかもしれません。それと同じで、コーヒーも「美味しく淹れられない」と諦めてしまうでしょう。

新生活を始める方が多い3〜4月は、新たにコーヒーのドリップにチャレンジしてみたい!という方も多く、毎年器具がよく売れます。難しく考えずに是非やってみて下さい。もし上手くいかなければひと声お掛け下さい。上記のようにちょっとした諸条件でも仕上がりの違いは出ますが、一度コツをつかんで自分の好みの傾向が分かればあとは簡単です。コーヒーなんてただの飲み物なんですから。ね。
by kunicoro | 2015-05-14 02:02 | 店主雑談
2015/4/3 さいはてにて
映画『さいはてにて〜やさしい香りと待ちながら〜』を観ました。

日本映画はほっとんど観ないのですが、「コーヒー屋さんが舞台だし、佐々木希ちゃんも出てるし」という事で、仕事終わりにレイトショー行ってきました。(すぐ終わっちゃいそうだったんでね)

e0245899_229417.jpg東京で自家焙煎の珈琲豆店を営んでいた女店主が訳あって店を畳み、幼少の頃暮らしていたが訳あって離れた生まれ故郷の海岸の船小屋に店を移す。そこで出会う様々な人々と1杯のコーヒーで繋がり合い、周りを変えていく。そして自らも様々な困難を乗り越え、成長していく…というお話です。

コーヒーは、もの凄くたくさん出て来ます。
いやむしろコーヒーを中心に作られていると言ってもいいです。

小学生の女の子が小学生の女の子を接客する、というシーンがあるのですが、「酸味が強い豆とコクがあって苦みが強い豆とどっちがいい〜?」っていう、ウチの妻が普段店頭で言ってるのと全く同じセールストークを喋ってて思わず吹き出しちゃいました。やっぱそこ基本だよね!

何よりも主演の永作博美さんの立ち居振る舞い〜焙煎釜の扱いやコーヒーの抽出はもとより、ハンドピックや豆の袋詰めの仕方までが凄く様になっていて、これには唸らされました。さすが女優‼

舞台となっているのは石川県珠洲市。この能登半島の突端の街のほぼ同じロケーションの船小屋で、実際にお店をやられている二三味さんという方がいらっしゃるのですが、バックグラウンド以外はこの方がモデルになっており、劇中の珈琲指導もされています。
登場する「年季の入った銅製のドリップポット」や「茶渋で真っ黒になった円錐ドリッパー」などは、実際にお店で使っているものを小道具として使用したのかもしれません。細かい部分にもこだわりを感じます。

ただ如何せん職業病だね。背景に映り込んだコーヒーミルに「おっ、コーノのアンティーク」とか、協賛各社のロゴが大きく映る度にそこに金の臭いを感じてしまったり、とかどうでもいい所が気になって今ひとつストーリーに入り込めない自分が悲しい。。。まぁ予想された事ではありましたが。

それでも「気持ちや状態を全て台詞で説明する」という( "渡る世間方式" と呼んでいます)ひどいパターンでは無く、淡々とした中で多くを語らせずに演出と演技でそれを見せようとする流れはなかなか良いです。
また「変にオシャレに撮ってない」「ファンタジーに逃げてない」所も好感が持てました。観て損は無い作品だと思いますよ。

とは言え、上映は2週間で既に終了してしまっています。まぁ案の定と言いますか…。興味のある方はDVDの発売をお待ち下さい。
クニコロ店主以上の永作さんの「店主っぷり」と合わせて、永瀬正敏の「クソ野郎っぷり」も見所となっております。
by kunicoro | 2015-04-04 21:30 | 店主雑談
2014/10/24 SCAJショー2014
e0245899_1513637.jpg先日お店の営業を1日お休みして行ってきた見本市、少し遅くなりましたが報告です。

*見本市の概要については昨年の記事もご参照下さい。


今年も会場は東京ビッグサイト。ほぼ朝イチで行きましたが賑わってましたね〜。

●入場するとまずは右側部分に生豆の各生産国のブース群。コロンビア美女にカプチーノを頂きながら会場内地図を下見。止めよう止めようと思いながら毎年ここで飲み過ぎる。そして案の定お腹を壊すという学習能力の無さ。。。

「おっ、エスメラルダ・ゲイシャのナチュラル。美味し〜」
ただ、いわゆる "オークションロット" は遥か彼方のお値段になってしまったようです。ウチでももうすぐエリア指定のものをやりますので詳細はまた後日。

●奥へ進むと大手生豆商社や焙煎機・器具などのメーカーがずらり。ここでは豆のサンプルをもらったり、お世話になっている取引先の担当者の方へご挨拶など。普段電話でしか接しない方と実際顔を合わせることは大事ですのでね。

●相変わらずイケイケのハリオ。ブースは昨年よりも更に拡大。若いスタッフさん達がデモ頑張ってました。ただ質問した男子がやる気の無いピント外れの受け答えに終始。『お前はバイトか⁉ 』人が追い付いてないのかな。もう少し頑張れハリオ。一時の新商品ラッシュは落ち着いた模様。

●もう一方の雄、カリタ。今年もフグレンの店長さんを招いてのデモも。相変わらずイケメンだなぁ。その辺の絡みもあるのか、ストリート系(?アウトドアテイストとかスケボーとか、裏原にいそうな感じの)アパレルブランドとのコラボでブースを作っていてかなり活気的。元々あの "赤いチェック" はとても可愛いのだから、もっと若者にも受けていいはず。信頼出来るメーカーさんですし、今後の商品企画に期待。

●小型の焙煎機、また増えたなぁ〜。もうほんとボタン1つ、電子レンジみたいなヤツもありました。自分がこの業界に入った頃はこういう電気が熱源の焙煎機は「デカい」「高い」「メンテ面倒臭い」ものばかりで、参入も2〜3社しか無かったと思います。それが今や小型で消煙装置付き・熟れた値段と自家用でも買えるレベル。やがて家電メーカーからホームロースターが発売、コーヒー豆は自宅で焙煎なんて時代も遠くないかもしれません。戦々恐々。

●今後のイベントで使えそうなノベルティとかパッケージ、新しい抽出器具などの資料を集めて更に奥へ。バリスタチャンピオンシップの人だかりにウンザリしながら進むと、エスプレッソゾーンは今年も若者でいっぱいです。
何かカップル多いなぁ〜。デートで来てる?丸山や小川のデモにみんな楽しそうに並んでるし、とちょっと羨ましかったり。

何やかんや気付けば入場から4時間以上が経過、お腹も空いたし痛いしで、そろそろ次の目的地へ移動する為会場を後にしました。

全体的には昨年からの流れを更に加速させた印象、特に強く感じた事は以下2点。


1)オシャレになったコーヒー業界

これは率直な感想です。いや既に定着した感もあります。

"Slayer" という超かっこいいエスプレッソマシンがあるのですが、こちらのブースでカッピングイベントが行われていました。全国のロースターが自分の豆を持ち寄り、Slayerで抽出するというもの。ブースの作りも長いソファーとか置いちゃってカフェみたい。そしてこのロースター達がみんなカッコイイ。服装や髪型もおしゃれだし、何なんでしょうか、このサッパリ嫌味のない雰囲気は。何かよく分からないけど、こういう人達が牽引してるんだと思った。

抽出器具なんかも「道具」というよりは「ちょっとオシャレなデザイン雑貨」寄りのものが増えてるし、木工や漆器の作家とコラボしたコーヒーミルなんかもあって、「コーヒーを(淹れて)飲む」ことのハードルは更に確実に下がって来ています。

2)異業種からの参入増

新開発の技術を用いたコーヒーメーカーを出しているブースがあったのですが、作ったのは本来モーターとかギアとか作っている中小企業。上で述べたSlayerの輸入総代理店は印刷屋さんだし、青山にパリ発の最新大型カフェが出来たと思ったら経営は某大手アパレルブランド。「コーヒーは金になる!」と思われてるのでしょうか。

イメージも良くなってきて色んな意味で裾野が広がって、これは多くの人が言っていることなのですが、「今後コーヒー業界は物凄い競争社会になるよ」と。
でしょうね。怖い怖い。消費者の求めるレベルもどんどん高くなり、その結果どんどん淘汰もされて行くわけで、怖いながらも全体で見れば良いことなのでしょうか。

銀座ランブルの関口さんが、某雑誌でラテアート選手権のことを批判的に仰ってて、要は本来は商品(味)を追求することが最優先なのに違う要素が評価されているのはダメだ!ということなのですが、個人的にはあれはまぁ余興だし、絵心とかセンスが無いと出来ないと思うのでそこまでは思いません(むしろ羨ましい)。ただ何か全体的にフワっと感じてフワッとやっちゃう人たちが増えてくるような気はしてます。商品(味)よりもスタイルを売りたい人たちというか...。

いずれはそれも淘汰されていくのでしょうが、一時的にしろそんなのが大手を振っている状況というのが、特に長く続けてきた人たちにとっては疑問に感じてしまうという事なのだと思います。これは分かる気がするな。

とにかく年に一度でも業界の移り変わりやコーヒーを取り巻く環境の変化を感じ、今現在の自分の立ち位置を確認する機会としてこの見本市は機能しているなぁと思いました。あの日会場にいた若いカップルたちは何を感じたでしょうか??

*会場内で写真を1枚も撮っていませんでした。文字のみの長文で申し訳ありませんでした。
by kunicoro | 2014-10-23 01:44 | 店主雑談